もう一度「Hello,Good bye」を始める。
かつて、僕の開いていたサイトにあったエッセイのコーナー。僕はそのタイトルを「Hello,Good bye」と名付けた。
命名の由来は、敬愛するビートルズの名曲のタイトルを拝借したのと、人生――流れ移り行く時を切り取って残していこうという願いを込めて、だった。何故なら、人生とは否応無く出逢いと別れの繰り返しだからである。
まるで瞬きにも似たその刹那刹那を、僕は1000文字程度のエッセイとして切り取って、残してきた。
例えば、幼い頃を過ごした我が家の記憶であるとか、無為な一日を駆け足で追うとか。
阿部昭の「単純な生活」を読み耽っていた頃の自分の記録だ。取り立てて耳目を引くような出来栄えでもなく、むしろ読み物としては些か退屈な出来だったかも知れない。
それでも、当時の僕は本当に「物を書く」という行為が好きだった。それは中毒と言ってよかった。変な姿勢でキーボードを打ち続け、右腕が腱鞘炎になったこともある。
あろうことは僕は痺れる右腕に鞭打つように電気店に駆け込み、音声入力ソフトを購入したのだった。それが例え便所の落書きであったとしても、表現したいという想いは岩をも通すものだと自分自身の愚かさを愛しくすら思った瞬間、なんてね。
かつてウェブ上に残してきた幾つかの物語は既にデリートされ、その一片も残されていない。――自分の記憶からも。
春・夏・秋・冬
あれから幾つもの季節を通り過ぎて、数多の出逢いと別れを重ね。……今また、まだ見ぬ貴方との出逢いと別れを想い、もう一度「Hello,Good bye」を始める。
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